おとといの『道草日記』で――
腰の少し上のあたりまで伸びている白髪の女性のことに触れ、
――新手のファッションか!
と訝(いぶか)ってしまったことを述べましたが――
そのあとで、
――これも新手のファッションか。
と訝ってしまうことがありまして――
30代くらいの小柄の女性が――
白いブラウスの上に黒いジャケットを羽織って――
颯爽と駅の地下街を歩いていました。
スカートは黒のミニをはいていて――
その下からは黒いストッキングの脚がスラりと伸びていて――
かかとの高い靴をカツンカツンと響かせています。
それだけなら――
しばしば街中で見かける“エレガントなお姉さん”の一例なのですが――
その“お姉さん”、背中にランドセルを背負っていたのですよね。
背負うといっても、肩紐を片方だけかけていて、両方きちんと背負っていたわけではないのですが――
黒いジャケットの背中で揺れているランドセルは――
どうみても小学生が背負うランドセルでした。
それも――
最近、流行している薄いピンクとかスカイ・ブルーのランドセルではなくて――
昔ながらの赤いランドセル――昭和の香りのする色合いです。
にもかかわらず――
なぜだか、
(すごく絵になるな~)
と感じました。
たぶん――
その女性が大人の割には小柄で――
黒を基調としたファッションだったことが奏効したのですね。
赤が黒に映えていたのです。
だから、
――これも新手のファッションか。
と括目したわけですが――
……
……
実際は――
そんなことはなく――
その女性の10メートルくらい前方を幼い女の子が歩いていて――
急に後ろを振り返って、
「ママ~!」
と呼びかけていました。
娘さんのランドセルをお母さんが代わりに背負ってあげていたようです。
10メートルも離れていたので、すぐには気づかなかったのですね。
その女の子の傍には、ビジネス・スーツ姿の30代くらいの男性が歩いていて――
やはりランドセルを背負った女性のほうを振り返っていました。
“パパ”・“ママ”・女の子の3人連れだったようです。
(なんで“パパ”が背負ってないんだろ~)
と思いかけて――
すぐに合点がいきました。
黒いジャケットやミニ・スカートの“ママ”が背負っていたから、絵になっていたのであって――
ふつうのネズミ色のビジネス・スーツ姿の“パパ”が背負っていたら、
(たぶん、イタい……)
と、わかったからです(笑