マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ほぼ例外なく「美しい」?

 新幹線のホームに上がってきて電光掲示板を見上げる人たちの姿をみていると――

 ほぼ例外なく、
(美しい)
 と感じられるのですよね。

 老若男女を問わず、皆さん美しい――
 背筋をピンと伸ばして凛々しい顔つきをされている――

(これはどうしたことか)
 と思って――

 新幹線の発車を待っている間に――
 ちょっと考えてみました。

     *

 僕は――
 生命体の美しさが顕現するのは、その生命体の備えている機能が十分に発揮されている時だ、と――
 考えています。

 これは、ヒト(生物種としての人)にも当てはまる原理だと思っていて――
 人が美しさを顕現させるのは、その人の能力が十分に発揮されている時だと考えています。

 よって――
 新幹線のホームに上がってきて電光掲示板を見上げる人たちの姿が美しいのは――
 その時に、その人たちが思いのほか十分に能力を発揮しているからではないかと、思うのです。

 と――
 ここまで考えて――

(そんなことってあるかな~?)
 と――
 ちょっと自信をなくしたのですが……(苦笑

(いやいや、案外あるかもよ~)
 と思い直しまして――

 というのは――
 新幹線を乗り間違えたら――
 けっこう大変なのですよね。

 逆方向の新幹線に乗ったら、時間や運賃のロスは相当なものですし――
 指定席を間違えたら、誰かと無用なトラブルに発展しかねない――

 あるいは――
 自由席車両で座り損ねたら、かなりの長時間、立ちっぱなしになってしまうし――

 なので――
 新幹線のホームに上がってきて電光掲示板を見上げる時に、人は、意外にも全身全霊を使って知覚し、思考し、決断しようとしているのではないか――

 ――反対側のホームでなくて良かったかな。

 とか、

 ――この新幹線で合っているのかな。

 とか、

 ――もう一本、遅らせなくても、座れるかな。

 とか――

 ……

 ……

 であるならば――

 新幹線だけでなく、旅客機についても、同じことがいえそうですが――

 空港の電光掲示板を見上げる人たちの姿は――
 なぜか、あんまり美しいとは感じられないのですよね。

(これは、どうしたことか)
 と思って――
 また考え直してみたのですが――

 たぶん――
 旅客機のゲートでは、地上職員の意外と手厚い案内が受けられるために――
 そこまで十分に能力を発揮する必要はないからではないでしょうかね。

     *

 以上――

 新幹線の発車を待っている間の(あくまで暇つぶしの)思索です。