マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

良い物が売れるのではない

 何か物を売ろうとするときに、

 ――良い物が売れるのではない。「買いたい!」と思わせる物が売れる。

 という話をあちこちで耳にします。

 つまり――
 いくら優れた商品を準備しても――
 それを人々に「買いたい!」と思わせない限り、売れない――
 ということです。

 あるいは――
 ありふれた商品しか準備していなくても――
 それを人々に「買いたい!」と思わせることができれば、売れる――
 ということです。

 よって――
 その「買いたい!」と思わせる何か仕かけを用意するべく――
 売り手は、

 ――物語

 を紡ぐ必要がある――
 という話も耳にします。

 例えば――
 それを買うことで、どんな利益がもたらされるのか――
 あるいは――
 それを買うことで、どんな難題が解決できるのか――

 当然――
 この場合の「物語」は、ノンフィクションでしょう――フィクションだと、「詐欺」ということになってしまいますから――

 しかし――

 こうまでしないと物が売れないということは――

 裏を返すと――
 この国では――
 それだけ物を売りたいという人が大勢いて、それだけ多くの商品が売りに出されていて――
 一方――
 物を買いたいという人は、そんなに大勢はいなくて、しかも、その一人ひとりが、そんなに多くは買わない――
 ということを意味しているのでしょう。

 こうした状況を肯定的にみるか否定的にみるかで――
 意見は大きく分かれるかと思いますが――

 僕は、肯定的にみたいと思っています。

 それだけ、この国が豊かで成熟している――
 ということではないでしょうか。

 ……

 ……

 甘いかな……。