マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

面白いけれどガッカリする議論

 論客2人が激しく議論を闘わせていて――
 各々の主張を冷静に聞き取ってみたところ――
 実は、2人とも本質的には同じ主張をしている――
 ということが――
 時々あります。

 2人とも、相手の主張を微妙に誤解ないし曲解した上で――
 その誤解ないし曲解した主張に対して厳しい批判を浴びせているのですね。

 2人は論客なので――
 その舌鋒は鋭いこと限りないのですが――

 批判の対象が相手の主張を誤解ないし曲解したものですから――
 議論の体は成していません。

 喩えるなら――
 2人は鉄砲で激しく撃ち合っているけれども――
 2人とも、相手のいる場所から微妙にズレたところに撃っているものだから――
 そもそも鉄砲を撃っている意味がない――
 といった感じです。

 こういう議論を、

 ――議論のための議論

 というのでしょうね。

 傍で聞いていると、面白い議論ですが――
 最後まで聞いていると、ガッカリする議論――
 でもあります。

 激しくぶつかっているのは、

 ――論と論

 ではなくて、

 ――情と情

 なのでしょう。

 情が絡んでいるから――
 相手の主張を誤解なしい曲解したりするわけです。