ありがちなダジャレを上手に口にする人が――
ときどき、います。
ダジャレというのは、なかなかに奥が深くて――
冗談に不慣れな人が、下手に口にすると、周囲を白けさせるだけなのですが――
冗談に慣れた人が、上手に口にすると、ときに何ともいえないおかしみを感じさせるのです。
なので――
僕は、密かに、
――ダジャレは冗談の本質である。
と信じているようなところがあります。
どういうことか――
*
――雑談は会話の本質である。
という考え方があります。
会話の雑談は、その内容自体には、とくに意味がないのですが――
雑談の話題を提供することで、会話をするという意志が明確になる、という特徴があります。
つまり、雑談には、
――あなたと会話をしたい。
という真意が込められているのですね。
これと同じで――
冗談のダジャレは、その内容自体には、とくに意味がないのですが――
ダジャレを口にすることで、冗談をいうという意志が明確になる、という特徴があります。
つまり、ダジャレには、
――冗談をいいたい。
という真意が込められているのです。
冗談のことを大切に思っている人は――
たぶんダジャレのことも大切に思っているでしょう。
そして――
ダジャレを上手に口にする人は――
たぶん冗談の達人です。