マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

鈍感は悪いか、敏感は善いか

 例えば――
 上り坂が苦なのではなくて――
 下り坂が楽なのではなくて――

 下り坂から上り坂に変わるときが苦なのです。

 あるいは――
 上り坂から下り坂に変わるときが楽――

 ……

 ……

 人は、変化に敏感です。

 変化がなければ――
 人は、鈍感です。

 ずっと上り坂を登っていれば、そのうちに慣れてしまう――
 ずっと下り坂を降っていれば、そのうちに飽きてしまう――

 慣れてしまえば、苦が苦ではなくなり――
 飽きてしまえば、楽が楽ではなくなる――

 苦も楽も感じない――感じられない――

 それが、鈍感の本質です。

 鈍感というと、何だか悪いことに思え――
 敏感というと、何だか善いことに思えますが――

 そんなことはありません。

 敏感は、変化への適応であり――
 鈍感は、変化がないことへの適応です。