話したくないことを話し始めたり――
書きたくないことを書き始めたりすると――
その後が大変です。
話したくないことですから、なかなか話す気になれず――
書きたくないことですから、なかなか書く気になれない――
それでも――
とにかく最後まで頑張って話そうとしたり、書こうとしたりすると――
ますます苦しくなる――
かといって――
途中で放り出すことも苦しい――
周囲の人たちの目があります。
何より――
自分自身に負けた気がして、どうにも釈然としない――
……
……
なので――
普通の感覚では――
自分が話したくないことや書きたくないことを、題材には選ばないわけですね。
ところが――
……
……
プロの作家にいわせると――
そういうことを題材に選ぶときにこそ――
オリジナリティあふれる講演や文章を生み出せるといいます。
どういうことか――
おそらく、
――話したいことを話したり、書きたいことを書いているうちは、通り一遍のことしか伝えられない。
ということです。
真に独自性の富んだことを伝えようと思ったら――
それまでの自分が話したくないと思ってきたことや書きたくないと思ってきたことを積極的に題材に選ぶ必要がある、と――
まさに、
――虎穴に入らずんば虎児を得ず。
の発想です。
……
……
まあ――
その前に――
そうまでして「虎児」を得たいと思えるかどうかが――
大切な分岐点であろうとは思いますが――