政治は、社会の利害調整であって、権力闘争とは別物である、と――
僕は、この『道草日記』で繰り返し述べていますが――
きょう、ふと気になったのは、
――選挙は政治か。
ということでした。
(いや、それは違うだろう)
と――
もちろん、選挙は政治の一部ではあるが、
選挙 ≒ 政治
ではありない――
ということです。
……
……
しばしば、「選挙に行こう!」というスローガンをみかけます。
このスローガンは、選挙に関心を持つことが良しとされているからこそ、スローガンとして成り立ちます。
民主主義の社会において――
社会の構成員が政治に関心を持つことは、必要条件です。
この必要条件と「選挙に行こう!」のスローガンとを重ねあわせると――
しぜん、
選挙 ≒ 政治
の認識に至りがちですが――
そこは、若干の注意を要します。
なぜならば――
実際には、
選挙 = 権力闘争
であるため、
選挙 ≠ 政治
であるからです。
もう少し厳密にいえば――
選挙も権力闘争も、政治の一部ではありますから、
選挙 ⊂ 政治
権力闘争 ⊂ 政治
です――「 A ⊂ B 」は「AはBに含まれる」という意味です。
……
……
何がいいたいのかといいますと、
――「選挙に行こう!」というスローガンを声高に叫ぶのは構わないが、その際は、「 選挙 = 権力闘争 」や「 権力闘争 ⊂ 政治 」の図式を明確に意識しておく必要がある。
ということです。
民主主義の社会である以上、「政治に関心を持とう!」はもちろんのこと、「選挙に行こう!」のスローガンも、用いないわけにはいきません――
有権者が、基本的には選挙によってのみ、政治的な意思を発する、というのが、民主主義の社会ですので――
が――
これらスローガンは、例えば、「いつも元気に挨拶をしよう!」とか「ゴミのポイ捨てはやめよう!」とかいったスローガンとは、次元の異なるものです。
声高に叫ぶには、それなりの覚悟を要するスローガンです。
……
……
社会の利害調整に懸命になっている人は――
権力闘争には関わりたがりません。
政治に真摯な関心を寄せている人ほど――
選挙に対しては、そうではない、ということです。
そういう人にとっての選挙は、あくまで、
――避けて通れないもの
――必要悪
といった位置づけです。