――人体はエネルギーの流れに吹き抜かれて生きている。
と――
きのうの『道草日記』で述べましたが――
実は――
この記述は、ちょっと不十分です。
「エネルギー」という概念を断りなく用いているからです。
……
……
――エネルギー
とは何か――
その答えは簡単ではありません。
そもそも――
エネルギーには実体がありません。
「エネルギー」とは――
現代科学が自然界の現象を統一的に理解し、記述するために作り出した虚構の概念といえます。
自然界でエネルギーが流れるときに、現実として起こっていることは――
物質の移動や変化です。
この移動や変化は、人為的に起こすこともできますが、基本的には、自発的に――つまり、ひとりでに――起こることです。
現代科学は、自然界で物質が自発的に移動したり変化したりしている様子をみて「エネルギー」という概念を考え出しました。
物質の移動や変化に着目し――
実際に物質が移動したり変化したりする際の潜在的な移動能力や変化能力を数値化したものが「エネルギー」です。
つまり――
自然界で物質が自発的に移動したり変化したりするのは――
自然界のエネルギーには、本来、その分布には可動性があり、その性状には可変性があることに起因する――
と解釈することに決めたのです。
自然界の物質は、多種多様、千差万別ですが――
自然界のエネルギーは、基本的には、一種類なのですね。
よって――
自然界の現象を統一的に理解し、記述するには、「物質」よりも「エネルギー」のほうが便利なのです。
――人体はエネルギーの流れに吹き抜かれて生きている。
と単純にいえるのは――
まさに「エネルギー」という概念の恩恵といえます。
が――
エネルギーの流れが人体を吹き抜けているときに、現実として起こっていることは――
人体の内部ないし周辺で様々な物質が自発的に移動したり変化したりしていること――
です。
鍵となる言葉は、「自発的に」、つまり、
――ひとりでに
です。
もし、“ひとりでに”でないのなら――
それは「人体」ではなく、「人為的に作られた人型の機械」ということになります。