マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ウソの小説

 ――小説のウソ

 には、

 ――ウソの中のホント

 と、

 ――ホントの中のウソ

 とがあって――
 どちらの意義も、甲乙つけがたい――
 ということを――

 きのうの『道草日記』で述べました。

 たまに――
 “小説のウソ”は“ホントの中のウソ”であると決めつけて――
 “ウソの中のホント”で描いた小説を、

 ――ウソの小説はつまらない。

 といって批判する人がいますが――
 それは、お門違いですね。

 ――小説のウソ

 と、

 ――ウソの小説

 とを混同しているだけです。

 ……

 ……

 ――ウソの小説

 は、

 ――小説のウソ

 とは、まったくの別物です。

 “ウソの小説”とは、

 ――ホントは書きたくなかったのに、諸般の事情で、むりやり書いた小説

 です。

 “ウソの中のホント”を伝える小説とも、“ホントの中のウソ”を伝える小説とも――
 まったく関係はありません。

 ……

 ……

 このように、

 ――ウソの小説

 という語句は――
 ちょっと紛らわしいので――

 僕は使わないようにしています。

 代わりに、

 ――むりやり書いた小説

 というようにしています。