スポーツは――
やるのとみるのとでは大違いですよね。
スポーツをやる楽しみがあれば――
スポーツをみる楽しみもある――
スポーツをやる苦しみがあれば――
スポーツをみる苦しみもある――
その楽しみや苦しみの本態は、四者四様といってよいでしょう。
スポーツというものは、やるのとみるのと、どちらにも精通しない限り――
その意義を十分に理解したことにはなりません。
やるのとみるのとは、まさに、
――スポーツの両輪
といえます。
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スポーツをやる楽しみとやる苦しみと――
スポーツをみる楽しみとみる苦しみと――
これら4つの中で一番わかりにくいのは――
おそらくは、“みる苦しみ”でしょう。
スポーツをみる苦しみとは――
落胆や苦悶を強いられる可能性のことです。
スポーツをみていると――
自分の応援する選手やチームが、しぜんと決まってくる――
いつしか――
その選手やチームの不成績がわかると――
まるで我が事のように落胆をしたり苦悶をしたりするようになる――
ひとたび落胆や苦悶に浸ってしまうと――
気持ちを切りかえるのは、なかなかに難しい――
その点は――
我が事に伴う落胆や苦悶と、まったく同様である――
それなりの理性を働かせないと――
いつまでも嫌な気持ちを引きずってしまう――
やがて――
落胆や苦悶の責任を自分が応援した選手やチームになすりつけたくなる――
その選手やチームを応援すると決めたのは――
あくまでも自分自身であるはずに――
……
……
このように――
つねに負の感情にとらわれる可能性がある、ということが――
スポーツをみる苦しみの本態です。