マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

天皇陛下が生前退位のご意向を示唆

 天皇陛下生前退位のご意向を示唆されましたね。

 きのうの午後に公開されたビデオ・メッセージのことです。

 僕は、その映像を見ておりませんが――
 メッセージの全文は読みました。

 お気持ちの溢れるメッセージであったと感じます。

 このメッセージに心を動かされた人は多いようで、

 ――1日も早くご譲位を!

 との機運が高まっているようです。

 が――
 政府・官邸は慎重です。

 というのは――
 現行の制度では――
 天皇の位にある人が、その位を存命中に後継者へ譲ることは、想定されていないからです。

 ――生前退位は現実的でない。

 という見方が、政府関係者の大勢を占めているといわれています。

 こうした政府関係者らの頑なな見解に、

 ――なぜ?

 と訝る向きは多いようですが――
 その答えは、この国の歴史が物語っています。

 天皇家が政権の中枢にあった古代はもとより――
 天皇家が政権の中枢を外れた中世以降であっても――
 天皇生前退位が深刻な政争を勃発させた事例が散見されるのです。

 現行の制度が天皇生前退位を想定せず、暗に禁止しているのは――
 そのためでしょう。

 政府関係者らの頑なな見解は、

 ――生前退位が深刻な政争を勃発させうる。

 との歴史の教訓に基づいているはずです。

 とはいえ――
 きのうのビデオ・メッセージでのお言葉に心を動かされた人は――
 政府関係者にも、決して少なくはなかったでしょう。

 天皇陛下のお言葉の全文は――
 その行間も含めて注意深く読む限り――
 歴史の教訓を十分に踏まえた内容でした。

 そして、何より――
 天皇の位にある人は、人である以上、いつかは心身を衰えさせ――
 その位にふさわしい発言や行動が、遅かれ早かれ、できなくなることは――
 誰もが受け入れるべき自然の摂理です。

 歴史の教訓と自然の摂理とをいかに整合させるべきか――

 天皇陛下のお言葉から伺える課題は――
 国や時代の垣根を越えて、悠久の時空に広がっている――
 と感じます。