――絹の道
で、語るべきことが最も多いのは、
――砂の道
であり――
次に多いのは、
――海の道
である。
――砂の道
は、英語では、
――Silk Road
という。
――海の道
は、
――Maritime Silk Road
あるいは、
――Silk Road of the Sea
である。
日本語のカタカナ語を用いて直訳をすれば――
それぞれ、
――シルクロード
および、
――海のシルクロード
となる。
――絹の道
も、
――シルクロード
も――
意味をするところは同じはずだが――
日本語圏での受け止めは少し違う。
メディアの影響が大きい。
1980年代――
日本の公共放送局が、
――砂の道
をテーマに、
――シルクロード
というタイトルで歴史紀行番組のシリーズを作った。
これが日本語圏で好評を博し、
――シルクロード・ブーム
を巻き起こした。
その後、
――海の道
をテーマに、
――海のシルクロード
が制作をされた。
今日――
日本語で、
――シルクロード
といえば――
19世紀の地理学者リヒトホーフェンが唱えた概念ではなく――
1980年代以降に何度か放映をされた歴史紀行番組のシリーズを指す向きが多かろう。
それくらいに、
――砂の道
や、
――海の道
には、語るべきことが多い。
一方、
――草の道
には、語るべきことが多くない。
その歴史紀行番組でも――「全く」ではないにせよ――殆ど取り上げられなかった。
『随に――』