――神様が、今日の日の入りの時刻に現れる。なぜなら、神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが、先ほど感じられたからである。
という仮説は――
一見、
――反証可能性が現実的に認められぬ仮説
であるが――
もし――
この仮説を唱える者の脳の内部で起こるはずの、
――神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが感じられた。
という事象の検知が不可能である――
という現実が覆るならば――
確かに、
――反証可能性が認められるかも知れぬ仮説
へと化け得る。
ただし――
それには――
他に2つくらいの条件が、満たされねばならぬ。
……
……
1つは――
その仮説を唱える者が、虚偽を述べぬ――
という条件である。
その仮説を唱える者は、確かに、
――神様の気配らしき実体が人の世へ到着をした。
と感じられた時にのみ――
そのような申告を行う――
――神様の気配らしき実体が人の世へ到着をした。
と、特に感じてはいないのに申告を行う――
ということはせぬ――
さらにいえば――
そのような申告が行われる時に限り――
この仮説を唱える者の脳の内部で、何か特異的な事象が起こっている――
ということが検知をされ――
その事象は――
そのような申告が行われぬ時には――
決して検知をされぬ――
そのような条件である。
……
……
もう1つの条件は――
そのような申告に再現可能性が有る――
ということである。
――神様が、今日の日の入りの時刻に現れる。なぜなら、神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが、先ほど感じられたからである。
という仮説を唱える者は、
――神様の気配らしき実体が人の世へ到着をした。
と、繰り返し感じ得ることが――
必要である。
仮に――
そのように感じることが――
その者の生涯で、ただ一度しか無い――
というのであれば――
再現可能性は認められぬ。
……
……
これら2つの条件が満たされれば――
――神様が、今日の日の入りの時刻に現れる。なぜなら、神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが、先ほど感じられたからである。
という仮説は――
――反証可能性が現実的に認められぬ仮説
から、
――反証可能性が認められるかも知れぬ仮説
へと――
確かに化け得る。
それは――
つまり、
――実験や観察に依る検証が可能か不可能かが判らぬ仮説
である。
『随に――』