――実験や観察に依る検証が不可能そうな仮説
とは、
――反証可能性が原理的に認められぬ仮説
ないし、
――反証可能性が現実的に認められぬ仮説
である。
ここでいう、
――反証可能性が原理的に認められぬ仮説
とは――
事前にせよ、事後にせよ、自在に書き換えられる仮説を指す。
一方、
――反証可能性が現実的に認められぬ仮説
とは――
例えば――
次にような仮説である。
――神様が、今日の日の入りの時刻に現れる。なぜなら、神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが、先ほど感じられたからである。
この仮説も――
命題である――真偽は、一応は確定をされ得る。
――神様
が、明日の日の入りの時刻に――
現れれば、
――真
であり――
現れなければ、
――偽
である。
が――
実際には、
――神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが感じられた。
という事象の検知は――
少なくとも現実的には――
不可能である――
という点が難点である。
むろん――
原理的には不可能ではない。
この仮説を唱える者の脳の内部で起こる生理現象を十分に精確に捉えることが出来れば、
――神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが感じられた。
との事象の検知は、可能であろう。
が――
21世紀序盤の現代――
そのような生理現象を精確に捉える技術は――
未だ無い。
そのような技術が未だ確立をされていないので、
――神様が、今日の日の入りの時刻に現れる。なぜなら、神様の気配らしき実体が人の世へ到着をしたことが、先ほど感じられたからである。
との仮説は――
原理的には否定をされ得るが、現実的には否定をされ得ぬ――
といってよい。
つまり――
これは、
――反証可能性が現実的に認められぬ仮説
である――
ということになる。
『随に――』