マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

どのような経緯で臆病になったのか

 ――日本人は、不安の感受性を高める遺伝子をもっている人の割合が、外国人と比べ、有意に高いらしい。

 という知見について――

 きのうの『道草日記』で触れました。

 

 ここでいう「不安」は、多少なりとも病的なもので、

 ――臆病

 といってよい「不安」です。

 

 つまり、

 ――日本人は臆病らしい。

 ということです。

 

 仮に日本人は臆病だとして――

 どのような経緯で臆病になったのか、ということは――

 気になるところです。

 

 学術的な実証は容易ではないと思いますが――

 それなりの仮説を――仮説らしき考えを――示すことはできるでしょう。

 

 実は――

 僕が真っ先に思いつくのは、

 ――日本人は“お坊ちゃん育ち”であったから――

 という考えです。

 

 ここでいう「お坊ちゃん育ち」というのは――

 もちろん、比喩です。

 

 別に「お嬢ちゃん育ち」でも、かまいません。

 

 その意図は、

 ――日本人は過去数千年にわたって深刻な疫病や戦禍をそれほど多くは経ていない。

 ということです。

 

 疫病についていえば――

 現在の新型コロナ・ウイルス感染症を含め、疫病の災厄を何回かは被っていますが――

 例えば、ペスト(黒死病)のように、人口の数割が失われるような甚大な疫病は経験をしていない――

 

 戦禍についていえば――

 太平洋戦争(大東亜戦争)の原爆を筆頭に、戦禍の災厄を何回か被ってはいますが――

 例えば、都市城塞戦のように、民衆も一緒に虐殺をされるような甚大な戦禍は経験をしていない――

 

 このような災厄を――

 日本列島以外の地域では、繰り返し被って、その都度、人口の激減が生じたことで――

 不安の感受性を高める遺伝子をもっている人の割合が有意に低まっていったのではないか――

 一方――

 日本列島では、そのような人口の激減がほとんど生じなかったことで――

 不安の感受性を高める遺伝子をもっている人の割合が有意に低まることがなかったのではないか――

 

 そういうことです。

 

 とはいえ――

 この考えによると、

 ――人口の激減が繰り返し生じると、なぜ不安の感受性を高める遺伝子をもっている人の割合が低まるのか。

 との疑問は残ります。

 

 とりあえず、

 ――いつ人口の激減が生じるかわからないような地域では、不安の感受性を高める遺伝子をもっている人は、もっていない人に比べ、子孫を残しにくかったから――

 というような進化生物学的な説明をすることは可能ですが――

 

 ちょっと腑に落ちない感じもします。