――失敗の秘訣
は、
1)再起不能の失敗を確実に避ける。
2)再起可能の失敗を様々な観点から繰り返す。
3)再起可能の失敗を全く同じようには繰り返さない。
4)再起可能の失敗から必ず教訓を得る。
の4つに集約できるということを――
おとといの『道草日記』で述べました。
1)は危機管理の能力です。
2)3)は想像および創造の能力でしょう。
4)は分析および学習の能力です。
これらのうち――
最も厄介なのは、2)3)であろうと僕は思います。
つまり、
――想像および創造を尽くして、ある物事に様々な角度から挑戦をし、同じ失敗――同じ“再起可能の失敗”――は決して繰り返さない。
ということが、人にとって最も困難な課題であろうと思うのです。
もちろん――
1)も 4)も大切です。
が――
これらは、確かな教育を経ていたり、厳しい訓練を受けていたりすれば、何とかなるものです。
2)3)は、そうはいかない――
確かな教育を経ていたり、厳しい訓練を受けていたりすれば、
――想像および創造を尽くして、ある物事に様々な角度から挑戦をし、同じ失敗――同じ“再起可能の失敗”――は決して繰り返さない。
ということが、どれほどに大切なことかは痛切に感じられるのですが――
大切であるとわかっているからといって、効果的に実践ができるとは限らないのですね。
むしろ――
大切であるとわかっているがゆえに、かえって強く意識をしすぎてしまい、中途半端にしか実践ができない、ということさえ――
あるかもしれません。
あるいは――
もっと原始的な意味で――
2)3)は、人には難しいのかもしれないと思っています。
30代の半ばの頃――
医療の現場で働いていて――
ふと、30年くらい先輩のベテラン医師がボソッと呟いことがあります。
――人って、同じ失敗を繰り返すんだよな。
それは――
自分が担当をしていた患者の生き方を振り返って呟いたようにも――
自分自身の患者の診方や患者への接し方を振り返って呟いたようにも――
きこえました。
それから10年以上が経って――
たしかに思うのです。
(人は同じ失敗を繰り返す)
少なくとも――
ただ何となく生きている限り、人は同じ失敗を繰り返します。
自分自身を振り返っても――
そう思います。