マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

失敗をした分だけ、成功へ近づける?

 ――成功の秘訣

 を教えてほしい――

 

 よく耳にする要望です。

 

 これに対し、

 ――“成功の秘訣”とは、要するに“失敗の秘訣”のことである。

 などと答えると、

 ――それはウソだ。

 との指摘が返ってくることもあります。

 

 きのうの『道草日記』で述べた通り、

 ――“成功の秘訣”とは、要するに“失敗の秘訣”のことである。

 というのは、

 ――失敗を上手に重ねることで、成功を収めることができる。

 ということであり――

 いいかえると、

 ――失敗をした分だけ、成功へ近づける。

 ということです。

 

 それを、

 ――ウソだ。

 と糺したくなる気持ちは――

 僕にも、よくわかります。

 

 実は、

 ――失敗をした分だけ、成功へ近づける。

 というのは、ある意味で嘘である、と――

 僕も思っています。

 

 正しくは、

 ――失敗をした分だけ、成功へ近づける――もし、あなたが心の底から成功をしたいと本当に思い続けているのなら――

 なのです。

 

 これとよく似た話があります。

 

 ――傷ついた分だけ、優しくなれる。

 という言葉です。

 よく流行歌の詞などに用いられますね。

 

 これも嘘です。

 

 正しくは、

 ――傷ついた分だけ、優しくなれる――もし、あなたが心の底から優しくなりたいと本当に思い続けているのなら――

 です。

 

 世の中には――

 残念ながら――

 傷つくことによって心が荒んでしまい、さらに一層、人に厳しく当たってしまう人というのが――

 一定の割合で存在をしています。

 

 が――

 傷つくことによって心が荒んでも、すぐに心を整えて、さらに一層、人に優しく接しようとする人がいるのも事実です。

 

 違いは何か――

 

 ……

 

 ……

 

 単純です。

 

 優しくなりたいと思っているか否かです。

 

 優しくなりたいと心の底から思っているのであれば――

 傷ついた分だけ、優しくなれるのです。

 

 ――失敗をした分だけ、成功へ近づける。

 も同じです。

 

 そもそも、成功をしたいと思っていなければ、成功へ近づけるわけがないのです。

 

 成功をしたいと心の底から思っているのであれば――

 失敗をした分だけ、成功へ近づけるのです。

 

 ただし――

 

 これは、

 ――成功の秘訣

 としては、

 (いま一つ説得力が弱い)

 と僕は感じます。

 

 精神論へ容易に堕してしまうのが明らかだからです。