10 ~ 100 個の“遺伝分子”が偶然に結合を連ねて“遺伝物質”となり――
それが、
――身体生存の起源
つまり、
――生命の起源
となった――
との考えを、
――生命の偶然発生説
と呼ぼう。
この説に依れば――
生命が発生をする確率は――
ざっと、
10 ^ ( −52 )
である。
一方――
恒星の数は、
――観測可能な宇宙
に限れば、
10 ^ 22
である――
と見積もられている。
よって――
太陽のように生命を育む恒星の数の期待値は、
10^ ( −30)
と求まって、
――観測可能な宇宙
には、太陽のように生命を育む恒星は、太陽以外に存在をしない――
との結論になる。
が――
……
……
――“観測可能な宇宙”の外側
を含めれば――
生命を育む恒星は――
夥しい数に上るかもしれぬ。
宇宙の広さは――
――宇宙のインフレーション(cosmic inflation)
が持続をした時間の長さによっては――
――観測可能な宇宙
の、
10 ^ 30 ~ 10 ^ 300 倍
の可能性がある。
よって――
太陽のように生命を育む恒星の数の期待値は――
宇宙の広さが、
――観測可能な宇宙
の、
10 ^ 30 倍
であれば、
10 ^ ( −52 ) × (10 ^ 22 × 10 ^ 30 )
= 1
であるが――
10 ^ 100 倍
であれば、
10 ^ ( −52 ) × (10 ^ 22 × 10 ^ 100 )
= 10 ^ 70
であり、
10 ^ 300 倍
であれば、
10 ^ ( −52 ) × (10 ^ 22 × 10 ^ 300 )
= 10 ^ 270
である。
よって――
太陽のように生命を育む恒星は、
――観測可能な宇宙
では、極めて珍しい存在だが――
宇宙の全体では、ありふれた存在――
といえる。
……
……
これまでに――
人類は、地球外生命に出会ったことがない。
かといって――
地球生命が、唯一無二の絶対的な存在なのかといえば――
それは違う。
少なくとも――
自然科学の見地に立てば――
その観方は、あまりに恣意的だ。
この矛盾を、
――生命の偶然発生説
が、軽やかに消す。
この説は――
人類が地球外生命に出会っていないことと――
地球生命が唯一無二の存在でないこととは――
両立をしうる――
ということを示している。
『随に――』