他人の生き方を評価することほど、愚かなことはありません。
とくに、お決まりの基準で評価するのは滑稽ですらあります。
例えば、ある家庭の主婦が、
――あそこの家のお坊っちゃんは、有名大学を出て、有名企業に就職して――ホントに御立派ねえ。
などといったとする――
たいていの場合、その主婦は、自分の言葉が自分の価値観を暴露しているという事実に気付きません。
自分は、あくまでも「お坊っちゃん」を遠くから眺めて褒めているにすぎない――高みの見物にすぎないーーそう思っている節があるのです。
実際は、
――私って、こんな人間です!
と周囲に白状しているようなものなのです。
他人の着替えを覗いているヤツが素っ裸――みたいな、みっともなさがあります。
だから――
僕が、そのような場面に出くわしたときは、相手が保護すべき存在であれば、
――きみ、素っ裸だよ。
と教えてあげますし――
そうでないときは、
(バカらしい)
と思って、素知らぬ顔で退散することにしています。
他人の行動や意見を評価するのは構いません。
が、他人の生き方を評価するのは愚かです。
他人の服装や髪型を評価するのは構いませんが、他人の容貌や体型を評価するのが愚かであるのと同じです。
もちろん、服装や髪型を評価するときも、常に配慮は必要です。
当初は、服装や髪型の評価だったのに、いつのまにか容貌や体型の評価になっていることがあります。
行動や意見を評価するときにも、十分に慎重になったほうがいいでしょう。