マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

ほんの鼻先でも気づかれない

 先日、職場から、ちょっと買い物にいったのですよ。
 夕方遅くの時間帯で、日は暮れかかっていたと思います。

 ちょうどそのとき――
 顔見知りのタクシーの運転手さんが、近くをゆっくりと通っていて、僕の姿をみかけたものですから、フロント・ガラスごしに挨拶をしてくれたそうですが――
 僕は、まったく気づきませんでした。

 今朝、たまたまその運転手さんのタクシーに乗ったので――
 知ることができたのです。

 車の外の様子というのは、運転している側からは、実によくみえるのですね。
 僕も車を運転するので、よくわかります。

 が――
 車の中の様子を外からみるのは大変です。

 よほど意識して注意を向けないと――
 誰が運転しているのかまでは、なかなか見分けられません。

 だから、僕は、車の運転中は、人の顔をみないようにしています。
 向こうは、ほぼ必ずといっていいほど、気づかないからです。

 とくに車道脇を歩いているような人は、たとえその外見が、いかに知人らしくみえても、絶対にみないようにしています。

 それでも――
 たまに、みてしまうことがあるのですよね。

 より正確には――
 運転の都合上、視線を向けた方向に、たまたま知人の顔があった――
 というようなことです。

 そういうときは、たいてい実寸距離にして1メートルも離れていないのですよ。
 ほんの鼻先に知人の顔がある――でも、知人はこちらに気づかない――
 あのやるせなさ――(笑

 そのやるせなさを――
 先日は、僕が与えてしまったのですね――タクシーの運転手さんに――

 ちなみに――
 今朝、いつも使うタクシー乗り場で、その運転手さんのタクシーをみかけたときには、なかなか気づいてもらえませんでしたよ。

 車体に寄っていって後部座席の扉をコンコンと叩いても――
 まったく気づいてもらえませんでした。

 仕返しだったのかな(笑