世間で小耳に挟んだ話というのは――
その話が下世話で、刺激的であればあるほどに、面白く感じられるものですが――
そういう話は、たいていは、
――やたらと特異的
なのですね。
ですから――
例えば、『道草日記』の話題にすることはできません。
「やたらと特異的」というのは、
――どの人のことをいっているか、どの組織のことをいっているのか、どの土地のことをいっているのかが、瞬時にわかってしまう。
ということです。
そうしたことが露骨にわかってしまったら――
やはり、ちょっと支障が出るものです。
ですから――
どうしても筆先は鈍ってしまう――
数日前も、タクシーに乗っていて、かなり面白い話をきいたのですよ。
ちょっと下世話で、刺激的で――それでいて、そんなに深刻ではなく――
が――
あまりにも特異的すぎて――
『道草日記』では触れられません。
残念――