マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「問う」と「答える」との解離

 数学の面白さは――
 それは人が考え出したものであるにもかかわらず、すぐには人に理解されないところにあるでしょう。

「人が考え出したもの」とは「人の思考の手法や思考の結果」ということです。

 つまり、裏を返すと――
 数学では、

 ――問題は作れても、解答は見出せない。

 ということが、よくあるということです。

 実は、「問題は作れても、解答は見出せない」というのは、数学に限った話ではないのですが――
 数学ほど「問う」と「答える」との解離が進んだ例は珍しいと思うのです。

 例えば、

 ――人はどこからきて、どこへいくのか?

 という問題は、わりと簡単に作れるぶん、ザルみたいに荒っぽい問題で――
 だから、答えを見出すのは、かなり大変だろうと想像できますが――

 ――ある自然数の3乗が他の2つの自然数の3乗の和に等しくなることはあるか?

 という問題は、「ザルみたい」な印象とは無縁の緻密な問題で――
 だから、答えを見出すのは、そんなに大変ではないだろうと想像できます。

 実際には、この問題は、かの「フェルマーの最終定理」に連なる大問題であり――
 答えが見出されるまでに360年もの歳月がかかったことは、有名です。