とにかく間に合わせでいいから寝巻を買いたくて――
ふだんなら絶対に入らない百貨店に入って商品棚を探したのです。
(どんなんでもいいや)
と思って探していました。
(少々高くても、よほど趣味が悪くないヤツなら、なんでもいい)
と――
そうしたら――
なぜか「よほど趣味が悪い」のばかりが目について――
(なんなんだよ、百貨店のくせに~。これだから、量販店に押されるんだよ~)
と思って――
そのまま商品棚の一番下の方までみていったら――
(あるじゃん)
決して「よほど趣味が悪い」というわけではないもの――
むしろ、「きわめて趣味が良い」というべきものが、一着だけありました。
(こういうのを探していたんだよ)
と思って値札をみてみると――
他の「よほど趣味が悪い」のと比べて、倍のお値段――
(そういうことか)
と苦笑しました。
量販店では、たぶん、こういうことはありませんな。
値段も意匠もバランスがとれているものです。