話し言葉の理想形は、
――らせん階段
ではないかと思っています。
同じところをグルグル回っているようで――
確実に昇っている、あるいは降っている――
一方――
書き言葉の理想形は、
――はしご
だと思っています。
目指すところへ一直線――
わき目もふらずに昇っていく、あるいは降っていく――
もし、「はしご」のような話し言葉や「らせん階段」のような書き言葉に触れたら――
けっこう大変だろうと思います。
――味気ない。
と思ったり、
――冗長だ。
と思ったり――
この違いは――
話し言葉は、話された瞬間から虚空に消え去っていき――
書き言葉は、書かれた瞬間から紙面に刻まれていくところに由来するといえましょう。