マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

痛ましい

 慣れぬ異国の地に滞在し――
 カフェで夕食をとりながら、ホッと一息をついているときに――

 いきなり武装集団が乱入してきて――
 目の前で店員や他の客に危害を加え始めても――

 たぶん――
 すぐには状況を飲み込めないと思います。

(え? なに? どういうこと?)
 と――

 大学院生であった頃――
 海外の学会に出席するために、慣れぬ異国の地に滞在し――
 つかのまの夕食をとる機会が何回かありました。

 そうしたときのことを思い返しながら、状況を想像すると――

(痛ましい)
 の一言に尽きます。

 ……

 ……

 何の話か――
 
 日本時間のきのう――
 バングラディッシュの首都ダッカで起きたカフェ立てこもり事件の話です。

 日本人客7名を含む20名が武装集団によって殺害されたと報じられています。

 現場近くに居合わせた人の話では、
「私は日本人だ。どうか撃たないでくれ」
 と英語で叫んだ人がいたとか――

 胸に突き刺さります。

 こういうニュースに触れたときには――
 やはり、自分が日本人であることを強く意識しますね。

 同じ立場にいたら、自分も同じように叫ぶのかもしれない、と――
 ふと思いました。

 が――
 すぐに、
(いや……)
 と思い直しました。

(僕なら、たぶん、すぐには状況を飲み込めないだろう)
 と――

 ひょっとすると――
 状況を飲み込む前に殺害されているかもしれません。

 ……

 ……

 こんなことは――
 考えたくもないのですが――

 考えなくてはならない時代に――
 差しかかってきたのでしょうか。