人に好き嫌いがあるのは仕方がなく――
嫌いなものを拒絶しようとしたり、排除しようとしたりする気持ちも、また仕方がないのですが――
その気持ちを、ぐっとこらえて――
自分が嫌いなものに、いかに寛容になれるかが――
その人の心の大きさを示すといえるでしょう。
嫌いなものを好きになる必要はありません。
好きになろうと思ったところで――
どうせ、好き嫌いは、自分の意志では、変えられません。
何かを契機に、自分の意志とは関係なく、いつの間にか好きになっている――
そういう偶然を期待して――
あとは、ひたすらに――
嫌いなものの拒絶や排除を我慢する――
それが、自分の心を大きく保つコツといえましょう。
その前に――
自分は何が好きで、何が嫌いかを、十分に自覚し、意識しておく必要があります。
自分が実際には嫌っているものを、とくに嫌っているわけでないと思っていたりすると――
嫌いなものに対して寛容になることもできません。
何に対して寛容になればよいのかが、わからなければ――
寛容になれないのは当たり前です。
世の中の不寛容な人たちの多くは――
実は、自分が何を嫌っているのかの自覚や意識が不十分なだけではないか――
そう思うことが、ときにあります。