マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

本を読みかえす時の注意点

 青年期に読んで感激した本を――
 中年期や老年期になって読みかえしてみて――

 もし――
 青年期と同じように感激するならば、

 ――その読者は愚か者である。

 という考え方があります。

 まあ、「愚か者」というのは――
 いいすぎかもしれません。

 が――
 少なくとも、青年期から中年期・老年期にかけて、

 ――何も変化していない。

 とはいえますよね。

 変化には――
 肯定的な変化と否定的な変化とがあります。

 そのどちらの変化もしていないということは――
 たぶん、

 ――進歩していない。

 と同義です。

 青年期から中年期・老年期にかけて、それなりの人生経験を積みながらも、一切の変化がない――肯定的な変化も否定的な変化もない――というのは、

 ――人生経験の恩恵を何も受けていない。

 つまり、

 ――人生経験を巧く活用する能力がない。

 ということです。

 この不能を根拠に「愚か者」と断じるのは――
 決して、いわれなきことではありません。

 ……

 ……

 よって――
 中年期や老年期になって、「愚か者」と指弾されないためには――
 青年期に読んで挫折した本や退屈した本を読みかえすことです。

 そして――
 それによって感激できたなら、

 ――ああ。私は、ずいぶん進歩したのだ。

 と安堵してよい――
 ということになります。

 が――
 もし、感激できなかったら――

 ……

 ……

 同じように挫折し、退屈してしまったら――

 ……

 ……

 そう思うと――

 ちょっと怖いですね(笑