――恋
とは、
――未来
であり、
――愛
とは、
――過去
である――
と思っています。
恋は未来と無関係に成り立つことはなく――
愛は過去と無関係に成り立つことはない――
と思うのです。
――あの人の傍(そば)にいたい。
とか、
――この人のことをもっと知りたい。
と思うのが恋であり――
それは未来を見すえた願望といえます。
一方、
――この人を無条件で受け入れ、守っていく。
とか、
――あの人のために、できることは何でもする。
と思うのが愛であり――
それは過去を踏まえた意思といえます。
つまり――
未来を想定しない恋はなく――
過去に立脚しない愛はない――
そのような意味で、「恋」は「未来」であり、「愛」は「過去」だと思っているのですが――
ここで注意するべきは――
時間軸のキメラ性です。
未来も過去も――
そして、現在も――
時間軸の一部とみなされていますが――
よく考えると――
未来や過去や現在は、同一の軸で表しうるような均質性がありません。
未来とは、現在の人の想像であり――
過去とは、現在の人の記憶であるからです。
今こうして思っている現在において――
想像と記憶とは、まったく異質です。
それを――
人の意識が論理的に繋ぎ合わせて強引に1本の軸にしているのが時間軸です。
こうした歪な様相が――
時間軸の構造にはあります。
――恋は未来を見すえ、愛は過去を踏まえる。
との命題は――
こうした時間軸のキメラ性を暗黙のうちに認めています。
簡単にいえば――
恋と愛とは、本来どこまで行っても決して交わらないはずなのに、人の意識によって強引に繋ぎ合わされている――
ということです。