――真のプロフェッショナリズムとは何か。
ということを――
きのうの『道草日記』で提起しました。
サッカーワールド・カップ・ロシア大会で――
日本代表が採った時間稼ぎ戦術についての問題提起です。
その前提にあったのは、
――日本の時間稼ぎ戦術は、日本に是が非でも決勝トーナメントへ進んで欲しいと願うサッカーファンにとってはプロフェッショナルであったが、そうでないファンにとってはプロフェッショナルではなかった。
という結論です。
もし、日本が、すでにワールド・カップで3回くらい優勝していて――
世界ランキングで上位10か国に軽々と入っていたら――
多くの日本人が、
――そこまでして決勝トーナメントに進む必要はなかった。
と感じていたでしょう。
この場合――
日本に是が非でも決勝トーナメントに進んでほしい願うサッカーファンは、圧倒的に少数であったはずですので――
日本は時間稼ぎ戦術は、とうてい、
――プロフェッショナル
とはいえませんでした。
実際には――
日本は世界ランキングで61位であり――
決勝トーナメントに進んだことはあっても、ワールド・カップを獲ったことはなく――
決勝トーナメントで勝ったことすら一度もありません。
そういう弱者の立場では、
――そこまでして決勝トーナメントに進む必要はなかった。
と感じる日本人は少数派に違いなく――
それゆえに――
僕の問題提起は、真意が伝わりにくいようです。
……
……
この問題を思い切って単純化してしまうと――
次の通りです。
あるプロ・サッカーチームの戦術に対し――
世界のサッカーファンの数%は、
――これで、よかった!
と喜んでいるけれども――
残りの90%余りは、
――気分が悪い!
と罵っているときに――
そのプロ・サッカーチームは、
――真にプロフェッショナル
といえるかどうか――
……
……
フェア・プレーポイント制度はもちろん――
時間稼ぎ戦術の是非さえ――
実は――
問題の本質ではありません。
……
……
皆さんは、いかがお考えですか。
……
……
ちなみに――
もし――
罵っているファンが数%で喜んでいるファンが90%余りなら――
一見、
――真にプロフェッショナル
といえますね。
が――
そうすると、次に、
――プロフェッショナリズムとは多数決なのか。
という新たな問題が発生します。
これは、これで――
なかなかに厄介な問題です。
……
……
僕の現段階での結論は、
――プロフェッショナリズムは多数決である。
です。
なぜ、そういえるのか――
……
……
もし多数決でないとすると、
――喜んでいるファンが100%で罵っているファンが0%でも、プロフェッショナルではない。
とか、
――喜んでいるファンが0%で罵っているファンが100%でも、プロフェッショナルである。
とかいう主張が成り立ちえます。
その際に――
プロフェッショナルか否かを決めるのは何でしょうか。
ごく一部の人たちの主観でしょうか。
もし、そうなら――
どんな人たちの主観でしょうか。
あるいは――
もし、何か客観的な基準(厳密には「間主観的な基準」)があるのだとしたら――
それは、どんな基準でしょうか――
これら問題の困難性に向き合うことと比べたら、
――プロフェッショナリズムは多数決である。
との結論を受け入れるほうがよい、と――
僕は思います。
……
……
今回のサッカーワールド・カップ――
日本代表は――
日本の決勝トーナメント進出を是が非でも願ったわけではなかった90%余りのファンたちから、
――プロフェッショナルではない。
との烙印を押されています。
まことに遺憾ながら、
――プロフェッショナリズムは多数決である。
とする考え方に立てば――
日本代表の皆さんはプロフェッショナルではないことになってしまうのですが――
とはいえ――
……
……
そんな烙印さえも、
――悪玉の演出
と割り切って――
善玉のチームを決勝トーナメントで次々と破っていく快挙――あるいは“怪挙”――を成し遂げていければ――
世界のサッカーファンの多くが、
――日本は真にプロフェッショナルであった。
と讃えることでしょう。
日本に生まれ、日本で育ったスポーツ・ファンの一人としては――
そうなることを願ってやみません。