――知りすぎて結論を間違える。
ということは――
たぶん、ありません。
が、
――知りすぎて発信を間違える。
ということは――
たぶん、あります。
……
……
社会問題に関する結論や発信のことです。
ある社会問題について――
職業上たまたま背景を深く知りえている場合は――
その社会問題について何か間違った結論を下すという危険性は――
それほど高くはないと思います。
が――
その社会問題について何か間違った発信を出すという危険性は――
かなり高いといってよいでしょう。
その発信の前提となっている知識や理解が――
社会の多数派の人たちとズレているからです。
その多数派の人たちが、
――はあ?
と不快に感じやすい言葉遣いをしたり、
――ええ?
と鼻白みやすい極論を展開したりしかねないからです。
背景を知りすぎている社会問題については――
結論を胸に秘め、発信を控えるのが――
無難でしょう。
いわゆるネット社会においては――
一見、時代の流れに逆行しているかのような発想ですが――
僕は――
それが時代の流れに即応した発想だと思っています。
……
……
要するに――
――ネット社会では、そんなことに注意を払わねばならないくらいに、発信が簡単になっている。
ということです。
――安易で不用意な発信をしやすくなっている。
ということです。