マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

了解可能性(9)

 特定の地域や民族、文化圏での基本的な習慣や背景的な思想を――

 本当の意味で十分に弁えているかどうかが判るのは――

 唯一、

 ――自分自身

 について、である。

 

 よって――

 その地域や民族、文化圏で見つかりやすい心の病気について――

 その、

 ――了解可能性

 の実効性を請け負うのは――

 実は、

 ――自分自身

 の謙虚さや誠実さなのである。

 

 本当は十分には弁えていないのに「弁えた」と思い込むのは――

 多くの場合――

 傲慢さや怠惰さのためである。

 

 それらが、

 ――了解可能性

 の実効性を損なわせるのは――

 火を見るよりも明らかだろう。

 

 ――了解可能性

 に実効性を齎(もたら)し、かつ仄かな普遍性を齎すには――

 その、

 ――了解

 の主体が、傲慢さや怠惰さから離れ、謙虚さや誠実さに親しむことが――

 必要なのである。

 

 このことは――

 実は、

 ――文化依存症候群

 が見つかっている特定の地域や民族、文化圏に限った話ではない。

 

 いかなる地域や民族、文化圏にも――

 当てはまる話である。

 

 ――了解可能性

 の普遍性は――

 仄かであるだけでなく――

 儚くて脆くもある。

 

 『随に――』