35 年ほど前――
10 代だった頃――
――あらゆる学問は「人とは何か」を問うために行う。
と、いわれた。
それから 2 ~ 3 年が経ち――
今度は、
――あらゆる学問は、自分のために行うものである。
と、いわれた。
――「人とは何か」を問うため――
と説いた人は――
当時、40 歳前後の人であった。
――自分のために行うもの――
と説いた人は――
当時、60 歳前後の人であった。
……
……
50 歳を過ぎた今――
――学問とは何か。
との問いには――
次のように答えている。
――実験や観察、調査、演算などによって何らかの原理を見出す営み
それが学問である――
ということだ。
……
……
いいかえれば――
実験や観察、調査、演算などによって何らかの原理を見出そうとさえしていれば――
たとえ、特に「人とは何か」を問うていなくても、あるいは、特に自分のために行っていなくても――
その営みは学問である――
と、いうことである。
とはいえ――
……
……
学問には――
明らかに――
面白いものと、そうでないものとがある。
あるいは――
有意義な学問と、そうでない学問とがある。
……
……
何が学問の面白さや意義を決めるのか。
……
……
この問いに答えねば――
――学問とは何か。
に答えたことにはなるまい。
『随に――』