(他者の心の中を覗けたら、どんなだろう?)
と夢想することがあります。
よくSFやファンタジーの類いでテーマとなりますね。
「他者の心の中を覗く」ことは、しばしば、
――とんでもないこと
として描かれます。
例えば、
――人の心の中を覗いたら、その人の思念の一切が洪水のように自分の心に押し寄せ、気が狂いそうになる。
といった具合です。
一理あります。
たしかに、他者の心の中身の全てが一度に流れ込んでくるのなら、そのような心配もしなければなりません。
が、流れ込んでくる他者の心の中身を、都合よく取捨選択できたなら――
例えば、母親が息子の今日の学校での記憶だけを取り込むというように――
これなら、かなりハッピーな気分にひたれるのではないでしょうか。
――今日は学校で、そんなことがあったのね。よしよし。いちいち話さなくても、わかってあげるわよ。
というように、です。
かなり便利な能力だと思います。
人間のコミュニケーションの性質が根本から変わっていくことでしょう。
もちろん、そんな能力を駆使する人間は、とうていヒトではありえないとは思いますが……。