マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

人生の現実

 人生というのは孤独ですね。
 人は皆、一人で生まれ、一人で死んでいきます。

 が、それだけではない。
 人生は、思うようにならないものでもあります。

「孤独」だけなら、まだ良かったと思うのです。
「思うようにならない」というのは、よく考えたら、かなり辛いことではないでしょうか。

 思うような家庭に生まれない――
 思うような友人に恵まれない――
 思うような先生に教われない――
 思うような高校や大学に入れない――
 思うような職に就けない――
 思うような人と結婚できない――

 残酷です。
 哀れです。

 19歳のとき、

 ――幼かった頃、世界は自分を中心に回っていると信じていた。

 という文章をみたことがあります。

 本当に、その通りですね。

 人は幼い頃は皆、自分が世界の中心だと思っていたはずです。
 人の親は子の面倒を、それだけよくみます。

 が、一旦、親元を離れると、嫌でも現実を思い知ることになるのですね。
 自分が世界の隅っこにいるという現実を、です。

 そうした現実を、多くの人は徐々に受け入れていくのだと思います。
 ある日、突然、受け入れるのではないのですね。

 これに対し、人生が孤独であるという現実は、ある日、突然、受け入れる気になるのではないでしょうか。

 両者の違いは、どこに根差しているのでしょう?

 おそらく、「孤独」の現実のほうが「世界の隅っこ」の現実よりも格段にわかりやすいという点に根差しているのだと思います。
 ヒトという生き物は、実は幼い頃から、しょっちゅう孤独を感じているのです。

 例えば、幼な子は、割と、いつまでもワガママを言い続けますよね。
 が、一人になると、すぐに泣きじゃくる――

「孤独」の現実は、生々しく、かつ耐え難いものですが、その分、受け入れるのも容易なのだろうと思います。