物書きをする上で、常に気にかけていることは、
――いかにウソをつかないか。
ということです。
――ホントがマコト
ということですね。
もちろん――
ホントを有り体に書くことが、常に良い結果を生むわけではありません。
むしろ、悪い結果を生むことのほうが多い。
いかにウソをつかず、いかにホントを書きすぎないか――
そのサジ加減が大切なのです。
このことは、小説を書くときですら当てはまります。
小説なんてウソ八百の代物ですが、それでも、
――いかにウソをつかないか。
に、僕はこだわっています。
自分の内から沸き上がる物語に、いかにして忠実になるか――そういうことです。
以上は、物書きの上での注意事項です。
他方――
喋りの上では、これとは逆です。
――いかにホントをいわないか。
です。
これが苦手なのです。
つい余計なことをいってしまいます。
余計なことをいって自分の不注意を呪いたくなる。
僕という人間は、根本的には、喋らないほうがいいようなのです。
喋るかわりに書く――そういうタイプの人間なのだと思います。なかなか、そういうタイプには徹しきれませんが……。
そういえば――
数年前、10歳くらい年下の女性に、
――マル太さんって、凄くお喋りですよね。
みたいなことを、いわれました。
言葉数の問題ではなかったと思います。
――ホントのことを喋りすぎますよね。
という意味だったでしょう。
(はい、その通りです)
と、得心してしまいました。
10歳も年下の女性にいわれれば、かえってスッキリですよ。