「臨機応変」という言葉が好きではありません。
――何事も臨機応変に――
などという人をみかけると、
(大丈夫かな?)
と心配してしまいます。
臨機応変は最後の手段です。
少なくとも、組織の中では、そうあるべきでしょう。
組織の構成員が、常に臨機応変に動いていたのでは、組織は成り立ちません。
「臨機応変」とは、
――場当たり的
と、ほぼ同義です。
たしかに、場当たり的な判断ないし行為が奏功することはあります。
が、それは偶然の産物といってよい。
せいぜい奏功率50%程度でしょう。
臨機応変は、あくまで非常手段なのです。
――臨機応変に――
とは、非常時に非常手段の大切さを説いているのであって、平時にまで場当たり的な手段をとるようにいっているのではありません。
平時は、常に慎重であるべきなのです。
でなければ、周囲が迷惑をします。
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二十代の僕は、臨機応変を好みました。
物怖じしない性格です。
場当たり的に動くことは得意中の得意です。
が、痛い目にもあっています。
臨機応変や場当たり的が自分勝手や御都合主義に堕落することは、よくあることです。
――何事も臨機応変に――
などといってしまう人には警戒が必要かもしれません。