昔――
付き合っていた女性が、僕宛の携帯メールを他人に送ってしまったことがあって、
(そんなバカな!)
と思ったことがあります。
携帯メールというのは、携帯電話での電子メールですね。
当時、僕らはプライベートで親しくしていたわけで――
その文面から、僕らの関係は、すぐにバレたと思います。
バレるのを嫌がっていたのは彼女のほうでして――
確信犯というわけでは決してなかったでしょう。
――痛恨のミス
だったことになります。
とはいえ――
なぜ、そんな初歩的なミスが起こるのか――不思議でなりませんでした。
どうしたら、そんな間違いが起こせるのだろう、と――
そうしたら――
やりました、今日ーーつい先ほど――
携帯メールで「初歩的なミス」です。
ある用件で全く関係のない人に送ってしまい、ビックリされました。
ええ――
かなりビックリされたと思います。
数分後に困惑の返信が戻ってきました。
携帯メールでは通常、冒頭に宛名を書きませんよね。
だから、誤送信が、すぐには気付かれない――それが「ビックリ」に拍車をかけることになります。
それにしても――
なぜ、そんな初歩的なミスが起きたのか――自分でも、よくわからないのですね。
送信前に、たしかに誤送信した相手の名前が宛名欄に自動的に出ていたのを、僕はみているのです。
みているのに、気付かない――
困ったことです。
人間の注意力は、実は、かなり心許ないものなのかもしれません。
いや――
僕の注意力は、か――