マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

まやかしのスピリッツ

 選手が自分のために闘っているか、チームのために闘っているかで、ファンにとっての身近さが違ってきます。

 そこが一番の理由なのでしょうね。

     *

 いよいよ世界最大のスポーツ祭典が開幕します。
 サッカーのワールドカップ(W杯)です。4年に一度の祭典です。

 4年に一度といいますと、オリンピック(五輪)も挙げられますが――
 世界の注目度は格段の違いだといわれます。

 日本にいると、多競技の集合である五輪のほうが、何となくメジャーだと思いがちですが――
 実際は、そんなことはないのです。

 世界には、五輪のことには全く関心がないのに、サッカーのW杯には夢中になる人々が大勢いるそうですよ。

 その気持ち、僕もよくわかります。
 サッカーのW杯に比べれば、五輪なんて、どうでもいい――

 僕はスポーツ観戦が好きです。
 が、五輪には、どうも入り込めない――

 理由は何か?

 たぶん、個人競技が多いからです。

 もちろん、五輪には団体競技もありますよ。が、どうもオマケのように思えるのですよね。
 陸上や水泳、スキー、スケートなどが花形として扱われているのをみると、その思いを強くします。

 個人競技には壁を感じてしまうのです。
 選手に、敬意は抱いても、親しみを抱くことはありません。

 ――頑張って下さい。

 とか、

 ――悔いのないように――

 としか、いいようがない――

 が、団体競技は違います。
 思わず、

 ――頼む! 頑張ってくれ!

 と力んでしまうような――そんな親しみを感じる――

 もちろん、団体競技の選手たちだって、自分のために頑張っているのですが――
 でも、やはり、それだけではない――少なくとも建前としては、

 ――自分よりチームのために――

 の思いがある――それが親しみを感じさせる要因でしょう。

 選手もファンも同じスピリッツを共有できるのです。

 もちろん――
 まやかしのスピリッツかもしれないのですがね。

     *

 サッカーのW杯は、いわば「まやかしのスピリッツ」の祭典といえるかもしれません。

 このスピリッツが負の側面を剥き出しにすることのないように、世界中が和気あいあいと楽しめればいいと感じます。