マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

普通の男は

 今日の朝7時に、仙台駅で電車に乗って発車を待っていたら――
 若い男女一組が、両脇にミッキーマウスの袋を幾つも抱えて電車に飛び乗ってきた。

(は?)
 と思った。

 夜9時の東京駅ならわかる。
 昼間、ディズニーランドやディズニーシーで思いっきり遊んだ後、最終の新幹線で帰るところ――というのなら、わかる。

 が、朝7時の仙台駅である。
 しかも在来線――

(は?)
 である。

 しばらく考えて――
 わかった。

 たぶん、夜行バスで帰った来たところだったのだ。

 昨夜はギリギリまで遊んでいて、夜行バスで東京を発ち――
 今朝、仙台駅に着いて、電車に乗り換えたに違いない。

(脱帽だよ)
 と思った。

 僕には、とうていできないことだ。
 たとえ、あと10歳、若くても――

 ちなみに、この男女――

 男は、お洒落で、なかなかに好青年風である。

 女も、わりと、お洒落はお洒落なのだが――
 そのお洒落が、ちょっと素材にあっていない、というか――
 頑張っているのだけれど、ちょっと空回りしている、というか――

 まあ、そういうことである。

 どちらも疲れた顔をしていたが――
 男のほうが、より疲れた顔にみえた。

 女が、いかにもディズニーリゾートとかに行きたがりそうだったので――
 なおさらであった。

 たぶん、こういう二人は、それなりにうまくいく。

 思うに――
 女は男の外面をみて――
 男は女の内面をみているようだ。

 一般に、女は、常に男の内面には敏感だから――
 この組み合わせだと、問題が極めて少なくなる。

 男というものは――
 女の内面をみながらも、なおかつ男の甲斐性を保つのが難しい。

 普通の男は、女の内面をみた途端――
 女を女とみれなくなる。

 哀しいことだ。

 が、嘆いても始まらない。

 男にとって、男女関係とは――
 女が女でなくなってからの勝負である。