ひと夜で憂さを忘れて、今宵を明日の糧にする――
という発想は、僕には難しい。
(ひと夜で忘れる憂さなんて、最初から気にすることないし――)
などと思ってしまう。
憂さの憂さたるゆえんは――
そうは簡単には忘れられないところにある。
散々、飲み食いした後の、翌朝の気だるい胸中が最悪に嫌いである。
(こんなだったら、夕べも自宅にこもって、一晩中、悶々と過ごしてるほうが、まだマシだった)
などと思う。
こういう発想だと――
たぶん、長生きはしない。
いかにも体の免疫を弱めている感じの心持ちである。
医学的には――
長生きには、常に明るく振る舞い、朗らかな笑いを絶やさいような営みが欠かせない――
と考えられている。
(まあ、いいけどね)
と思う。
(どうせ長生きなんて、できないし――)
と――
投げやりといえば、投げやりである。