僕が自由に小説を書くと、すごく読むのが難しくなる。
3日ほど前にも、ちょっと書いてはみたのだが――
たしかに、その通り――
読むのが、かなり難しい小説になる。
ふだんは理屈っぽい随筆ばかりを書いているからなのか――
自由に小説を書くときには、直感に頼った行き当たりバッタリの作品になる。
僕が、例えばミステリーなどは全く書く気がせずに、もっぱらファンタシーを書いているのは――
そうした行き当たりバッタリを最も可能にさせるのが、ファンタシーだからだ。
そういうファンタシーを書いているときには、ときどき、
――オレは、小説ではなく、詞を書いているのではないか?
と思うことがある。
もちろん、
――行き当たりバッタリに書くのが詞である。
などというつもりは毛頭ないけれども――
計算して書くとダメなのだ。
つまらなくなる。
ファンタシーにもエンターテイメントにもならなくなる。
わかりやすくは、なるであろう。
が――
それで面白いのか。
少なくとも僕にとっては、面白くなくなる。
僕にとって面白いものとは、
――いったい何を書いてるんだ、この作者は?
と思わせる――
何かドロドロしたものが渦を巻いているような――
しかも、暗闇の片隅で、光を恐れるように――
そういうファンタシーである。
それは、たしかに――
小説ではなく――
詞なのかもしれない。