人間の攻撃性について――
もう、ずいぶん前から色々に考えている。
考えているというよりは――
もてあましているというのが現状であった。
人間が、今の地球上において、これまでに、どの生物種もなしえなかったような凄まじい繁栄を、こともなげに謳歌できている理由は、ひとえに――
人間が、ヒトという生物種の特徴の一つとして、攻撃性という進化論的に効果的な特性を備えていたからであろう。
攻撃性というのは、要は、
――ほかの生物種たちを絶滅に追いやってでも繁栄してやる!
という強い意志――本能に絡めとられた意志――である。
進化の過程でヒトの攻撃性が他の類人猿を圧倒したからこそ、今の人間の繁栄があるといっても、過言ではあるまい。
この攻撃性は、食欲や性欲などと結びついていて、かなり厄介だ。
そして、おそらくは、雌性よりは雄性と、なじみやすい。
だから、人間の男である僕にとっては――
ヒトの攻撃性は避けて通れぬ難題であった。
僕の文筆の原点でもある。
これを意識して避けているうちは――
物書きとして認められることはないであろう――
そんな気がしている。