マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

久間発言の非

 久間防衛相の辞任が発表され、一日が経過した。
 久間氏は、なぜ職を辞さねばならなかったのか――今月末に参院選を控えた今、僕ら有権者は、事の次第を正しく理解したほうがよい。

 まずは久間発言の主旨である。

 ――アメリカ軍によって、広島や長崎に原子爆弾が落とされたことは、しょうがない。あれで戦争が終わったとみることもできる。

 これが、

 ――けしからん!

 となった。核兵器是認の意思表示と、とられたのである。
 つまり、

 ――アメリカの論理で物をいうとは何事か!

 ということだ。

 が、世間には誤解をしている向きもある。
 曰く、

 ――核兵器は悪だ。その悪を是認した久間氏は、けしからん。辞任せよ!

 というものである。
 事は、そう単純ではない。

 ――核兵器は悪だ。

 というのは一面的だ。
 たしかに悪には違いないが、それをいうなら、戦争が悪なのである。
 核兵器は一般市民を大量に殺戮するから悪なのだといわれるが、実際には戦争で使用されうるからから悪なのだ。核兵器でなくても、一般市民は大量に殺戮されうる。

 核兵器の根絶は、日本の国是である。
 その国是を無視し、国策の秩序を乱したから、辞任を迫られた。

 久間発言の非は、人道的見地からのものではない。
 純粋に、政治的見地からのものである。

 核兵器の維持を国是とする国々に利するような失言をしたからこそ、厳しく咎(とが)められている。