小説以外の文章を書いていて時々、
(ああ、これはマズい、マズい――)
と慌てて消すことがある。
たいていは背徳的で不謹慎な表現である。
そういうときに――
ふと疑問に思うことがある。
(じゃあ、小説なら本当に許されるのか?)
と――
これは微妙な問題だと思っている。
小説か小説以外かは、書くほうにとっては――少なくとも僕にとっては――大問題なのだが――
読む人たちにとっては、たぶん、それほどの問題ではない。
だから、書くほうが、いくら、
――これは小説だからOK、これは小説以外だからダメ――
と決めて書いていたところで――
何ほどの意味があろう?
本当は、小説にも許されない表現は、あるのだと思う。
が、そんなことをいっていては、いかなる小説もロクに書けはしない。
一部から厳しく非難されることを覚悟の上で――
小説書きは、誰かが傷つくかもしれぬ言葉を、あえて書かねばならぬのである。
ちなみに――
僕は、そういう言葉を書くときに、自分なりの工夫を施している。
とっておきの企業秘密だ。
ここで明らかにする気はない。
とはいえ――
僕の小説(式部たかし名義の小説)をよく読めば、おわかりになれると思うのだが――