マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

なぜか言葉は一つも出ず

 よく利用するお店の店員さんと、お店以外の場所で鉢合わせになったときには――
 いったい、どうすればいいんでしょうかね。

 実際に、今日、顔なじみの店員さんと、お店の外でバッタリ会ってしまって、
(え、どうしよう)
 と戸惑ってしまいました。

 本当の意味での顔なじみなら、問題はないのですよね。
 例えば、いつもお店に行くと、必ず数分は雑談を交わすような仲であれば、

 ――ああ、どうも。

 ――奇遇ですね。

 といった会話が自然と生まれます。

 が――
 お互い顔は覚えていて、どんな時間帯に、どんな風に店に顔を出しているかも、すっかり頭に入っていて――
 それでも、雑談らしきことは、まったく交わしたことがない――
 そんな関係が、もう数年は続いている――
 そういう場合に、困ってしまうのです。

 今日のところは、先方が小声で曖昧に「どうも――」と頭を下げてくれたので――
 僕も曖昧に頭を下げ返したのですが、なぜか言葉は一つも出ず――

 ――こんにちは

 くらい、いえばよかったな。