マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

子供がダメなら大人もダメだろう

 先日、TVでオーディション番組のようなものをみていたら――
 10歳くらいの女の子たちがステージの上で歌って踊っていたのです。

 その声の色や振り付けが、かなり艶かしかったものですから――
 審査員から苦言が出されました。

 ――そういう歌や踊りは、もう少し歳をとってからにしてはどうか。

 まあ――
 その気持ちは、わかるのですが――
 ちょっと浅慮な発言であったと思います。

 つまり――
 そういう艶かしい歌や踊りを子供がやってはいけない理由に説得力がないからです。

 もう少し正確にいうと――
 どうして大人はよくて、子供はダメなのか――
 ということです。

 子供がダメなら大人もダメだろう、と――

 もちろん――
 その理由のかなり部分は、大人のエゴにあるわけです。

 そういう歌や踊りを子供がやっているのは、多くの大人にとっては、けっこう不快なものなのです。

 もっといえば――
 大人を不安にさせるもの――

 このことに自覚的であるならば――
 くだんの審査員は、どのようなコメントをしたらよかったのでしょうか。

 もっとハッキリとコメントをすればよかったのだと思います。

 ――そういう歌や踊りは、今のあなたたちの声や体にはマッチしていない。

 とか、

 ――そういう歌や踊りは、私の感性では、とうてい受け入れられない。

 とか――

 おそらく――
「もう少し歳をとってからにしてはどうか」というのは――
 その女の子たちを傷付けないための配慮のつもりであったのでしょうが――
 審査のコメントとしては、ちょっと思慮が足らなかったように思います。

 なぜならば――
 その女の子たちに、そのような歌や踊りを指導した大人たちというのがいて――
 その大人たちにとっては、「もう少し歳をとってから――」という発想は、間違いなく陳腐なものであったはずなのですから――

 その女の子たちは、そういう大人たちの感性を受け入れ、従っていただけなのですから――