小説を書こうと思ったら、まずは作文技術を磨くべし――
などと述べると、
――つまらん小言だ。
とお叱りを受けるかもしれませんね(笑
実は僕も10年前はそう思っていたのですが――
ある小説書きの入門書を読んで、考えが変わりました。
(たしかに、そうだよな)
と――
たとえ、どんなに面白い物語を思いついても――
その面白さを正確に伝える文章技術がなかったら何の意味もないではないか、と――
とはいえ、
――小説を書きたい!
と張り切っている人に「まずは作文技術を磨くべし」と諭したのでは――
冷や水を浴びせるに等しいでしょう。
小説を書きつつ、作文技術も磨く――
というのが、現実的な対応でしょうね。
では、どうすれば具体的に作文技術を磨けるのか。
小説に有用な描写というのは、2つしかないといってよいでしょう。
情景描写と心情描写とです。
このうち、心情描写は「自己の心情描写」と「他者の心情描写」とにわけられます。
「自己の心情描写」というのは1人称小説に有用で――
「他者の心情描写」というのは3人称小説に有用です。
よって、例えば「嬉しい」をキーワードに文章技術を磨くとするならば、
1)数千人の人々が嬉しがっている情景を描写する。
2)自分が嬉しいときの心情を描写する。
3)嬉しがっている他人の心情を描写する。
といった課題が考えられますね。
また、「地震」をキーワードに文章技術を磨くならば、
1)地震で街並が破壊される情景を描写する。
2)自分が地震にあうときの心情を描写する。
3)他人が地震にあうときの心情を描写する。
といった課題が考えられます。
バリエーションは、いくらでも増やせそうですね。