マル太の『道草日記』

ほぼ毎日更新――

「学生さん」に感じられる敬意の響き


 ――学生さん

 などといいますね。

 通常は、社会人によって発せられる呼称です。

 親しみだけでなく、敬意の響きが感じられます。
 親しみだけであれば「学生くん」でいいわけで――

 自分が学生であったときには――
 この「学生さん」が、どうにも理解できませんでした。

(どうして「くん」じゃなく「さん」なんだろう?)
 ということです。

 もう少し厳密にいえば、

 ――「学生さん」に感じられる敬意の響きの由来は何か?

 ということです。

 社会人になった今では、その由来は何となくわかります。

 学生から社会人の立場になって、最も変わった点は金銭感覚でした。
 ハッキリいえば、おカネに意地汚くなった――(苦笑

 社会人には社会的責任が伴います。
 その責任の大部分は金銭の獲得によって裏打ちされます。
 いわゆる経済力という能力のことですね。

 したがって、社会人がおカネに意地汚くなるのは、やむを得ません。

 多くの社会人が、その「汚さ」を自覚しています。
 負い目も感じている――

 その負い目が源となって――
「学生さん」の呼称につながっているのではないか――

 おカネの意地汚さから自由な「学生さん」たちは――
 それだけで敬意の対象になりうるのです。