――口に出してはならない真実もある。
などといわれますが――
そんなことはないと、僕は考えています。
真実はすべからく口に出してかまわない、と――
もし、「口に出してはならない真実」らしきものがあるとしたら――
それは、似非の真実でしょう。
何となく真実だと思われているが、実際には真実でないこと――です。
とはいえ――
真実を口に出さないほうがいい場合というのなら――
数多くあります。
真実は冷酷です。
それを受け止めるには――
強靭な精神力が必要です。
知力と胆力とです。
そのような力を備えていないようにみえる人の前では――
真実を口に出さないほうがいいでしょう。
真実がその人を完膚なきまでに打ちのめすかもしれないからです。